中小企業や個人事業主等の販路開拓や業務効率化を後押ししてくれる素晴らしい制度である「小規模事業者持続化補助金」。
時代の流れに沿って少しずつ変更されており、2022年度は特別枠の追加や補助上限額のアップ等がなされました。
今回は、さらに魅力的な制度になった小規模事業者持続化補助金の概要と変更点をご紹介します。
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小規模事業者持続化補助金とは、中小企業や個人事業主等の小規模事業者が、自社の経営を見直し、自らが持続的な経営に向けた経営計画を作成した上で行う販路開拓や生産性向上の取組を支援する制度です。
平成26年(2014年)に始まり、毎年多くの小規模事業者に利用されてきました。
補助金を用いて新たな販路としてネット通販を開始したり、高齢の利用者が使いやすいテーブルセットを導入したりといった利用方法で売上向上に貢献しています。
これまでの補助上限額は50万円と少額でしたが、今回の変更により最大200万円まで申請できることになりました。
「受け取れる補助金が少額すぎて使いにくい」と感じていた事業者の方でも、利用できる幅が広がったのではないでしょうか。
今回の最も大きな変更点は「補助上限額が引き上げられた新枠設置」です。
以前までの通常枠よりも多くの補助金が受け取れるので、大胆な販路開拓に取り組めます。
その他にも重要な変更点がいくつかありますので、併せてご紹介します。
今回の変更点の中でも大きな目玉は、特別枠の新設と補助上限額の引き上げです。
通常枠では50万円のところ、特別枠では最大「200万円」まで補助金が受け取れることになりました。
「補助額が少額だから」とこれまで申請していなかった方も、ぜひこの機会に申請を検討されてはいかがでしょうか。
雇用している社員の賃金引き上げに利用できる補助金枠です。
補助上限額も200万円と高額ですので、会社の負担を軽減しつつ社員の昇給が可能です。
申請要件 | 販路開拓の取り組み+事業場内の最低賃金が地域別最低賃金より30円以上高額を達成すること |
補助上限額 | 200万円 |
補助率 | 2/3(赤字事業者の場合は3/4) |
なお赤字事業者の場合は、補助が3/4に引き上げられると同時に、加点により優先的に採択されます。
小規模事業者持続化補助金における赤字事業者とは「直近1期または直近1年間の課税所得金額がゼロである事業者」を指します。
事業が赤字でも昇給させなければならない場合等に利用できそうです。
事業規模を拡大し、小規模事業者を卒業する際に利用できる補助金枠です。
中小企業から大企業へと変遷する際に、上手に使いましょう。
申請要件 | 常時使用する従業員数を増やし、小規模事業者の従業員数を超えて規模を拡大すること |
補助上限額 | 200万円 |
補助率 | 2/3 |
なお小規模事業者持続化補助金における「小規模事業者」は「商工会及び商工会議所による小規模事業者の支援に関する法律」で制定されています。
小規模事業者とみなされる従業員数については下記の表のとおりです。
<小規模事業者とみなされる従業員数>
業種 | 常時使用する従業員数 |
商業・サービス業 (宿泊業・娯楽業除く) |
5人以下 |
宿泊業・娯楽業 | 20人以下 |
製造業その他 | 20人以下 |
事業後継者の意欲的なチャレンジに利用できる補助金枠です。
若い世代による新規事業立ち上げの資金源として利用できます。
申請要件 | 申請時において、「アトツギ甲子園」のファイナリストになった事業者であること |
補助上限額 | 200万円 |
補助率 | 2/3 |
アトツギ甲子園とは、全国各地の中小企業の後継者・後継者候補が新規事業アイデアを競うイベントです。
39歳以下の中小企業の後継者や後継者候補であればどなたでも参加できます。
昨年度の最優秀賞受賞者は、受注や協業の依頼が爆発的に増加したようです。
公式サイトの特設ページに事業プランと会社名等が掲載されるので、エントリーするだけでも宣伝効果が見込めます。
特定創業支援等事業による支援を受けて創業した小規模事業者が、さらなる販路拡大のために利用できる補助金枠です。
申請要件 | 過去3年以内に「特定創業支援等事業の支援」を受けて創業し、販路開拓に取り組む小規模事業者であること |
補助上限額 | 200万円 |
補助率 | 2/3 |
これまでの条件でも、創業間もない事業者は小規模事業者持続化補助金に申請可能でしたが、すでに安定した事業を営んでいる事業者に比べると採択されにくいという欠点がありました。
今回の変更では創業者に限定した補助枠が新設され、より補助金を受け取りやすくなりました。
ただし「創業予定の人」は利用できませんのでご注意ください。
免税事業者からインボイス発行事業者に転換する小規模事業者が利用できる補助金枠です。
補助上限額は100万円と他の特別枠よりも低額ですが、今後インボイス発行事業者になる予定なら取りこぼしのないよう活用しましょう。
申請要件 | 2021年9月30日から2023年9月30日までの課税期間中免税事業者であることが見込まれる事業者のうち、インボイス発行事業者に登録した小規模事業者であること |
補助上限額 | 100万円 |
補助率 | 2/3 |
インボイス制度とは、令和5年(2023年)10月1日から始まる消費税の仕入税額控除の方式のことです。
インボイス発行事業者になるには、消費税における免税事業者から課税事業者に転換したうえで、インボイス発行事業者への登録申請が必要です。
小規模事業者持続化補助金は申請すれば誰でも受け取れる補助金ではありません。
審査等で優先順位が決められるのです。
加点要素が高ければ、そのぶん優先的に採択されます。
今回の変更では加点要素が大幅に追加されました。
特に知っておきたいのは「パワーアップ加点」と「電子申請加点」です。
パワーアップ加点は、地域資源等の活用や地域の課題解決といった「地域に根差した取組」に対して加点されるものです。
地域密着型の小規模事業者には非常に利用しやすい加点要素です。
電子申請加点は補助金申請システム(Jグランツ)を用いて電子申請を行なった際の加点要素です。
取組に関する制限がないため、どのような企業でもすぐに取り入れられます。
ただし補助金申請システム(Jグランツ)利用までには時間がかかりますので、早めに申請しておきましょう。
補助対象者は「本補助金の受付締め切り日の前10ヶ月以内に、持続化補助金で採択されていないこと」という制限が課せられています。
これにより、同じ事業者が何度も小規模事業者持続化補助金を受け取ることを防ぎ、初めて(または久々に)補助金申請を行う事業者が優先されることになりました。
補助対象経費のうち、ウェブサイトやECサイト構築の費用にあたる「ウェブサイト関連費」については、補助金交付申請額の1/4が上限になります。
また、ウェブサイト関連費のみでの申請ができなくなりました。
小規模事業者持続化補助金でウェブサイトの新設や更新等を検討している場合は、補助金上限額を再計算すると共に、ウェブサイト関連費以外の補助対象経費が発生しないか探してください。
令和3年度補正予算により、最大補助額200万円の新枠が5つも登場しました。
また加点要素の追加や対象者の制限により、今まで小規模事業者持続化補助金を受け取ったことのない事業者でも申請しやすくなりました。
ぜひこの機会に小規模事業者持続化補助金を受け取り、さらなる販路開拓に取り組んでみてくださいね。
まずは、お気軽にご相談ください