地域に根ざして小さく事業を営んでいる事業者にとって、新規事業の開始や販路拡大にはコスト面で大きな負担が伴います。
そんな小規模事業者を支えてくれる補助金が、小規模事業者持続化補助金です。
CONTENTS
小規模事業者持続化補助金とは、小規模事業者の販路開拓や生産性向上を支援する取り組みの1つです。
2022年4月現在、小規模事業者持続化補助金は通常枠と特別枠があり、特別枠は5つの種類が用意されています。
第8回公募は2022年6月3日が受付締め切りとなります。その後、2022年内に第9回、第10回の公募が行われる予定です。
地道な販路開拓等(生産性向上)のための取り組みにあたって必要となる経費への補助が受けられます。
通年募集されている補助金枠です。
小規模事業者の計画に沿った経費への補助を受けられます。
常時使用する従業員が20人(商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)の場合は5人)以下の法人・個人事業主の方
補助額上限:50万円(単独申請)
複数の事業者で共同事業を行う場合は上限500万円
補助率上限:2/3
5つの枠が用意されています。それぞれ対象となる条件を満たす事業者に対し、販路開拓の取り組みに必要な経費の一部を補助します。
事業場内最低賃金が地域別最低賃金より+30円以上である小規模事業者
雇用を増やし、事業規模を拡大する小規模事業者(事業拡大で小規模事業者を卒業)
アトツギ甲子園においてファイナリストに選ばれた小規模事業者
産業競争力強化法に基づく「特定創業支援等事業の支援」を受け、創業した小規模事業者
免税事業者から、新たにインボイス発行事業者として登録した小規模事業者
補助額上限:200万円(インボイス枠のみ100万円)
補助率: 2/3(賃金引上げ枠の赤字事業者は3/4)
小規模事業者持続化補助金を受け取るには膨大な書類と審査の通過が必要です。
大まかな流れを確認し、早めに準備をしておきましょう。
GビズIDとは、さまざまな行政サービスにログインできるサービスのことです。
小規模事業者持続化補助金の申請方法は、
とされています。
電子申請を行う場合は書面提出よりも必要書類が少なくなりますので、ここでは電子申請を前提に申請方法をお伝えします。
アカウントの取得には1週間以上かかりますので、まず最初にGビズIDプライムアカウントの取得作業を行いましょう。
なおGビズIDプライムアカウントは、一度取得すれば有効期限もなく半永久的に使い続けることができます。
1.スマートフォンもしくは携帯電話
ワンタイムパスワードをSMSで受信するために必要です。
2.印鑑(登録)証明書と登録印
申請書に押印の後、印鑑(登録)証明書と共に送付します。
発行日より3カ月以内の原本であることが必須です。
作成した申請書と印鑑(登録)証明書の原本を封筒に入れて下記まで送付してください。
【送付先】
〒530-8532
GビズID運用センター宛
郵便番号と宛名だけで届きます。
記載内容に誤りがあった書類や手書き修正された書類は受け付け不可となり再申請となります。郵送前に漏れや間違いがないかチェックしてください。
申請書類を揃えます。
いくつもの書類が必要となりますので、漏れや間違いがないよう確認から添付申請してください。
なお申請書類一覧は下記にまとめてあります。
申請書類が揃ったら、専用サイトにログインして必要事項の入力・資料を添付して申請を行います。
一般型は日本商工会議所への提出でも可能です。
操作の途中で期限を過ぎてしまった場合は申請受付されませんので、時間には余裕をもって申請しましょう。
申請した書類に不備があると、不採択となりますのでご注意ください。
よくある不備は以下のとおりです。
補助金の採択審査は、「審査の観点」に基づいて行われます。
審査は基礎審査と加点審査の2種類です。
基礎審査の要件をクリアしていない場合は、加点審査がどれだけ良くても不採択となります。ご注意ください。
以下に「審査の観点」を簡単にまとめました。
基礎審査を確実にクリアし、加点要点で確実に審査通過できるよう確認しておきましょう。
補助対象者の要件に合致し、漏れや不備がないこと
提出された経営計画及び補助事業計画が適切であること
・パワーアップ型加点(地域資源・地域コミュニティに根差した取り組み)
・赤字賃上げ加点(賃金引上げ枠に申請する事業者のうち、赤字である事業者)
・東日本大震災加点(東京電力福島第一原子力発電所の影響を受け、引き続き厳しい事業環境下にある事業者)
・経営力向上計画加点(中小企業等経営強化法に基づく「経営力向上計画」の認定を受けている)
・電子申請加点(補助金申請システムを使用し、電子申請を行った場合)
・事業承継加点(代表者の年齢が満60歳以上の事業者で、後継者候補が補助事業を中心的に行う)
・過疎地域加点(「過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法」に定める過疎地域に所在する事業者)
審査終了後、採択者一覧がサイト上で公表され、申請者全員に対して審査結果がメールで通知されます。
補助金交付決定通知書を受領してから補助事業に着手しましょう。
事業を実施する期間は受付期限によって異なります。
補助事業の手引きに沿って、経理処理及び請求書等の整理を行いましょう。
補助事業の終了後、定められた期限までに実績報告書を提出してください。
実績報告書を提出しなかった場合は補助金を受け取れません。
補助金額が確定した後、専用サイトから精算払請求を行いましょう。
かなり膨大な資料が必要ですので、漏れがないかチェックしながら準備を進めてください。
小規模事業者持続化補助金事業に係る申請書(電子申告の場合は不要) |
経営計画書兼補助事業計画書① |
補助事業計画書② |
事業支援計画書 |
補助金交付申請書(電子申告の場合は不要) |
電子媒体(CD-R・USBメモリ等)(電子申告の場合は不要) |
(法人の場合)貸借対照表および損益計算書(直近1期分)・株式名簿 |
(個人事業主の場合)直近の確定申告書(決算期を一度も迎えていない場合は開業届) |
(特定非営利活動法人の場合)貸借対照表および活動報告書(直近1期分)・現在事項全部証明書または履歴事項全部証明書・法人税確定申告書(直近1期分) |
書面申請の場合は上記書類の原本と合わせて、必要事項を記入した書類データが入った電子媒体が必須です。
電子媒体に入力されているデータを元に審査されますので、電子媒体がない・入力前のデータが入っている等のケースでは採択されません。
電子申告の場合、電子媒体は必要ありません。
給与支給額増加または事業場内最低賃金引き上げについて従業員に表明した文書 |
賃金引上げ枠申請に係る誓約書 |
現在支給している賃金が分かる賃金台帳等の写し |
卒業枠申請に係る誓約書 |
労働者名簿(直近1ヶ月間) |
「認定連携創業支援等事業者」が実施した「特定創業支援等事業」による支援を受けたことの証明書 |
現在事項全部証明書または履歴事項全部証明書(申請日から3ヶ月以内の日付のもの) |
開業届 |
インボイス枠の申請に係る宣誓・同意書 |
その他、各種加点の付与を希望する場合はそれぞれ必要な書類がありますので、公募要領にて詳しくはご確認ください。
小規模事業者持続化補助金申請の中でも、特にハードルが高いのが「経営計画・補助事業計画」ではないでしょうか。
ここでは経営計画・補助事業計画の書き方について解説します。
自社の商品やサービス概要を説明します。
記載事項は下記の4点です。
自社の概要を記載します。
特に変わった項目はありませんので、記入漏れや間違いに気をつけて記載してください。
顧客はどんな属性で、どのようなニーズがあるのか。
また市場はどのように変化しているのかを記載します。
たとえば弁当の販売事業でも、独身男性向けと既婚女性向けでは切り口がまったく異なります。
市場の動向チェックも重要です。
人口の増減のような基本的な情報に止まらず「駅向かいにショッピングセンターができて人の流れができた」といった情報も事業の信ぴょう性を高めてくれます。
補助金を受けて販売する商品やサービスの説明です。
ここでポイントとなるは「なぜ御社の商品(サービス)が選ばれるのか?」です。
競合のいない商品やサービスはほぼ存在しません。
しっかり競合調査をして、御社の商品やサービスが顧客から選ばれる理由を記載しましょう。
売上目標や販売スケジュールを記載しましょう。
根拠となる資料を元に、現実的な数値を割り出してください。
補助金を受ける商品やサービスの具体的な内容を記載します。
記載事項は下記の4点です。
このうち「業務効率化(生産性向上)の取組内容」は任意記入です。
事業の名称を記載します。
30文字以内に収めてください。
上記のように、何を利用してどのように販路開拓するのかを、できるだけ具体的に記載してください。
上記のように、何を利用してどのように販路開拓するのかを、できるだけ具体的に記載してください。
補助金を受け取ったとしても、売上が上がらなければムダ金になってしまいます。
認知度の向上や購入までの道筋をどのように作っていくのか、顧客の立場に立って施策を練りましょう。
任意記入ではありますが、生産性向上のために補助金を申請するなら記載しておきましょう。
業務効率化とは、非効率な業務を改善していくことです。
たとえば従業員用にパソコンを支給し、今まで手書きで処理していた伝票を自動的に管理できるようにするなら業務効率化にあたります。
また、フォークリフトを導入すれば手積みしていた商品搬入が速く楽にできるようになりますね。
これもまた業務効率化です。
4で「売上アップ・利益アップ」と結論づけるための、説得力のある内容にしましょう。
最終的に売上が上がる・利益が上がるとの結論に持っていきましょう。
「○を始めると客単価が上がり、売上高が向上する」
「人件費を削減できるので利益が増加する」
たとえ新規事業の開始でなかったとしても、書き方次第で売上増加の結論に導けます。
小規模事業者持続化補助金の申請には膨大な書類が必要です。
中でもご紹介した経営計画・補助事業計画書の作成で苦労するかもしれません。
「頭の中ではまとまっているけど、紙に書くとなるとうまく書けない」
このようにお困りでしたらL&Bヨシダ税理士法人にご相談ください。
小規模事業者持続化補助金の申請を1からお手伝いいたします。
小規模事業者持続化補助金は小規模事業者のサポーターです。
これから新たなビジネスにチャレンジするなら、ぜひ小規模事業者持続化補助金の申請をご検討ください。
コスト面での負担を減らし、チャンスを掴み取る可能性を大いに高めてくれるでしょう。
小規模事業持続化補助金を受けるには商工会議所に入会しないといけない?
まずは、お気軽にご相談ください